建設業界と似た「近代化」

2012.02.18

九〇年代のJポップ景気が、テレビにその多くを支えられていた。もちろん、すべてのテレビ出演が金銭や饗応によって決まっているなどとは私は考えない。が、たとえその一部であっても、その影響力が金銭の授受や接待といった不正な取引によって決められていれば、競争の公正さへの信用は破壊されてしまう。それは同時に「より良いうたをつくり、うたい、送り出す」という公正な競争の阻害であり、最終的には消費者(リスナー)の利益を損なう。

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これは建設業界における「談合」に例えられるかもしれない。談合とは、公共工事の受注を、複数の建設会社が事前に相談して、順番に回す「密約」のことであり、本来は独占禁止法に違反する。談合は、長らく建設業界では公然の秘密だったが、九〇年代以降は、「入札」という公正な競争を妨げ、工事価格を不当につり上げ、最終的には納税者や消費者の利益を損なっているとして、厳しく摘発されるようになった。建設業界も九〇年代になってようやく「競争原理」という波に洗われるようになったのだ。ポピュラー音楽業界にも、七八年に始まった「ザ・ベストテン」のように、厳密な視聴者の投票でテレビ出演を決めようとする動きもあった。これは歌番組への出演を「情実」ではなく「競争原理」に忠実に決めるという点で革新的だった。そのことを思い起こせば、日本のポピュラー音楽産業は、急成長に熱狂するあまり、いつの間にか七八年以前の状態に逆戻りしてしまったともいえる。売上げや視聴率の急落に苦しむJポップ産業界にとってまず第一に必要なものとは、実は建設業界と似た「近代化」なのかもしれない。