点検整備記録簿は書かれた中身をチェック

2011.11.15

中古車情報誌を見ていると“記録簿付き”という表現があちこちにある。正しくは点検整備記録簿。クルマに備えつけて、点検の結果どんな問題を発見し、どんな整備をしたか、記入する。人間で言うとカルテのようなものだ。車検の時には、直前記入した記録簿の提示が事実上義務づけられている。本来、これはそのクルマの生涯を通じて同じ帳面に記されるものだが、中古車販売店でわざわざ売り文句になることでもわかる通り、実際にはそれがないクルマも多い。前のオーナーが記念に手元に置く、ということもあるだろうが、問題なのは、何かを隠すために、店が意図的にこれを廃棄してしまっているケースだ。いちばん大きな隠しごとは、走行距離。記録簿には、点検の時の距離を書き込む欄かあるから、メーターを巻き戻し、距離をごまかして売ろうとする業者にとっては、これがあるのはかえって都合が悪いわけだ。ちなみに、事故歴はこの記入の対象外だから関係ない。そこで、記録簿がついていることで「ウチの店は隠しごとなしですよ」とアピールしているわけだが、本当はこの記録簿は、ついてりゃいい、というものではない。その中身が問題なのだ。現在は規制緩和によって、クルマ(のオーナー)に義務づけられているのは2年(24ヵ月)ごとの車検と、その間、1年(12ヵ月)時点での法定点検だけだが、95年までは、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月と、6ヵ月ごとの点検整備が義務づけられていた。この点検間隔は、クルマの品質がまだまだ低かった時代に決められたものであり、品質=信頼性の向上でそこまでしなくても安全は保てる、ということで規制緩和の対象になったのだが、本当のことを言えば、やはりこの間隔での点検が望ましいことに変わりはない。とくに輸入車に関してはそうだ。これは、別に輸入車の品質が劣るという意味ではなく、それが作られた国と日本の気候や使い方があまりにも違うからだ。たしかに、半年や1年手つかずでも、致命的な故障が必ず起こる、というわけではない。が、半年という期間は、酷使すればクルマをボロボロにすることも可能な期間でもある。大きな問題はないかもしれないが、その芽になる小さな問題は起こり得る期間でもある。規制緩和以前から、車検前以外は点検を省くことへの罰則はなく、2年に1度、車検の時の記録簿しかないクルマも多い。それだけに、6ヵ月(正確にそうでなくても)ごとにキチンと点検したことが記された記録簿は、前のオーナーがそのクルマにいかに愛情を注いだか、の証明であり、愛されたクルマは程度がいい、というごく簡単な理屈が成り立つわけだ。それともうひとつ、点検整備記録簿をチェックすることで、自分が購入してから、どんな所に手を入れる必要があるか、の目安もつけられる。記録簿には、点検すべき項目が列挙されており、その各項に付されたマス目にレ(点検)、×(交換)、A(調整)といった略号で結果を記すようになっている。この略号が新車以来、レばかりの項目は、今後、交換が必要になる可能性が高いということだ。もちろん、すべての部品が消耗品というわけではないが、ブレーキパッドやエアクリーナー、プラグなどは、3〜5万kmも走れば交換が必要になる。これらを交換したことがないクルマは、当然、あなたがオーナーになってから交換する必要があるわけだ。その上、ただレばかりが並んだ記録簿には、偽造の疑いさえある(これは実在するのだ!)。たとえ10万?走ったクルマでも、こまめに点検を受け、その結果として、ピッシリ書き込んだ記録簿の用紙が足りなくなって足してあるようなものは、安心して買える、とは、中古車販売店主からよく聞く声である。

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