太い3本の線が隙間をつくってならび、山型をなしているのが「ADIDAS」(アディダス)のシンボルマークだ。トレーナーやグラウンドコートの胸に、このマークをさん然と輝かせているスポーツ少年たちの姿は、すっかりおなじみだろう。このマーク、じつはただのシンボルではなく、アディダス社の技術の保証と自信の象徴ともいえるもの。なぜなら、もともと自社商品の目玉だった靴のデザインに由来しているのだから。アディダス社の前身であるダスラー兄弟商会は、製靴業からスタートした。現在はサッカーシューズで脚光を浴びるアディダスだが、当初は陸上競技用、テニス用など、あらゆるスポーツに対応する靴づくりに挑戦していた。しかし、そのころの素材は皮革である。汗や熱に弱く、すぐ型崩れをおこすのがネックとなっていた。そこでダスラー社は、アッパー部分に、伸びや型崩れを防ぐための補強材を縫いこんだ。いまでは、どんなスニーカーにもメーカーごとに工夫した切り替えやステッチが入っており見慣れたデザインになってしまったが、当時では画期的だった。そのダスラー社のランニングシューズは、たまたま3枚の強化布を使っていて、そのステッチが靴の丈夫さの証となった。デザインとは無関係で、実用を優先した結果だったのである。靴づくりにかける創意と工夫のシンボルとして、このときのスリーストライプが、ブランドイメージとして使われることになったという。