オートクチュールを頂点とする伝統的な服づくり

2011.06.16

一九八一年、パリで初めて発表された川久保玲女史デザインによるCOMMEdesGARCONSは、ジャーナリストたちに「悪魔の服」「パリコレへの冒涜」と、完膚なきまでにこき下ろされた。なにしろ、色はどの服もただただ真っ黒。シルエットがきちっとしておらず、ねじれてゆがんでいる。アシンメトリー(左右非対称)なんてもんじゃあない。オートクチュールを頂点とする伝統的な服づくりの見地からすれば、そもそも服じゃない。実をいうと、学校を出たばかりの私も、まったく理解できなかった。それでも川久保女史はメディアに迎合することなく、自分が信じる服をつくり毎シーズン発表し続けた。今日、彼女の才能に口を差し挟める人間がいるだろうか。そのときクソミソにいったジャーナリストたちは、今でもジャーナリストという肩書きで仕事をしているのだろうか。COMMEdesGARCONSは、今日世界中に響き渡るデザイナーブランドであると同時に、ファッションハウスブランドとなった。結局、川久保女史は布と体を使って異次元の表現を試みていたのだろう。